山登りを始める方々へ
登山はあせらず徐々にステップアップすれば生涯楽しめるスポーツです。
最初は、登山道やトイレが整備されて登山者の多い山、登山口から頂上までの標高差が300m以下で、歩行時間が2-3時間程度の低山を選び、日程、登山ルート、メンバーの連絡先などを記載して、コピーを家族に渡し、登山口にある登山計画書ボックスにも入れて登山を始めましょう。
山道の歩き方
初心者は猫背で地面を見て歩きがちですが、頭から背中をまっすぐにすることが大切です。歩幅を小さく、靴底全体で地面にフラットに着地し、踏み込む足に静かに重心を移します。
急な山道は上りも下りも工夫してジグザグ歩くと筋肉痛を防ぎ、滑りやすい登りは逆ハの字でふんばり、急な下りは体も足も横向きにして下ると脚への負担を軽減できます。
また、登山道では登り優先のマナーと、道を譲る時は山側に避ける危険回避も大切です。
水分と行動食
「体重×歩行時間×5ml」の基準を目安にした水分補給と、パン類、チョコレート、クッキー、ナッツ、ゼリーなど栄養価の高い行動食で昼食時以外にもエネルギーを補給しましょう。
登山装備の「三種の神器」
①登山靴
筋力と技術が未熟な初心者こそ、しっかりした登山靴を選びましょう。
登山靴は、つま先が固く靴底が厚くて底全体に滑り止め機能があり、甲の部分は踏ん張っても靴の中で足がずれないホールド感を高めた仕様になっています。
くるぶしを包むミドルカットやハイカットは、捻挫から足首を守り、砂利や雨の侵入を防ぎます。さらにゴアテックスのような防水透湿性素材なら雨天でも安心です。
試し履きは、つま先を先端まで入れて、かかとに人差し指が1本入るサイズを選び、店内を歩いてみて、甲の幅と高さのフィット感もチェックし違和感がないか確認します。
登山靴は、足全体を持ち上げて一歩一歩踏みしめて歩くので、特にハイカットは事前の練習が必要です。最初の一足は軽めの登山靴でミドルカットくらいが馴染みやすいでしょう。
*アルパインシューズは、岩場での安定感と高所や冬期の登山に備えたソールの硬さと、しっかりとしたつくりだけに重量があり、歩き方にもコツを要する中級者~上級者向けの本格的な登山靴です。 アルパインシューズを履いてアルプスを目指す日を夢見て、山歩きの回数を重ねましょう。
②ザック
登山用ザックは、背負い易くて疲れにくく、耐久性があり、雨蓋やサイドポケットなどが使いやすく工夫されているものを選びます。
背面の長さとウェストベルト・ショルダーベルトのサイズが自分の体型に合っている事が何より重要なので、実際に背負ってフィット感を確認します。
サイズの目安は
・日帰りの山歩き:20~30リットル
・1泊程度の山小屋泊:30~40リットル
・数泊以上の山小屋泊、テント泊:50リットル以上 ですが、
初めて買うザックは、大は小を兼ねるので20〜40ℓのサイズにしても良いでしょう。
重いザックは両手で持ち上げて片膝の上にのせ、身体をねじって片方の肩から背負うと腰を痛めません。重いものはザックの上部の背中側に入れると安定します。
ザックの丸洗いは避けたいので、雨から守るザックカバーで汚れの予防も心がけましょう。
③雨具
山の天気は変わるもの、雨と寒さから身を守るレインウェアは必携です。
上下セパレート型で、薄手のストレッチ素材、防水性と透湿性が高いゴアテックスが、高価ですがお薦めです。レインパンツはサイドファスナーが上に広く開くタイプが楽に素早くはけます。
上着の前ジッパーは首元まで締め、ウエスト、袖口、足首がレインウェアからはみ出さないよう装着し、フードは隙間を無くしてから、目線が妨げられないよう調整します。
持運びは、収納袋ではなくフードの中にファスナーは開けたままでパンツと共にたたんで入れておくと、急な雨の中で素早く取り出せて便利です。
重ね着(レイヤリング)は登山の基本
歩き始めは肌寒い位でスタートし、寒ければ着て、暑ければ脱ぎ、常に汗をかきづらい状態を保つのが理想のレイヤリングです。
ベースレイヤー(肌着)は脱げないので、分厚いものや乾きにくい綿素材を避け、吸汗性・速乾性・伸縮性のあるポリエステルなどの化学繊維を選びます。保温性が高いのはメリノ種という羊の毛の天然素材メリノウールで、冬期には最適の素材です。
ミッドレイヤー(行動着、保温)はフリースが扱いやすく用途も広く、化繊のシャツも温度調節に有効です。
アウターレイヤー(防風、防水)はレインウェアを代用すれば一枚で済みますが、高価なので消耗を避けたいなら、薄手のウインドブレーカーが重宝します。
ダウンはインナーにもアウターにも使え、軽量でコンパクトなので、サブとして持参すれば予想外の寒さにも対応できます。近年、化学繊維でできたダウンも増えています。