2025. 3. 01~02 乗鞍岳 B
山行名 乗鞍岳
山行日 3月1~2日(土~日)
リーダー 牛山 誠
参加者 8名(女性5名、男性3名)
コース 松本駅=乗鞍スノーリゾート駐車場=かもしかリフト最上部-肩の小屋-朝日岳-乗鞍岳-肩の小屋-位ヶ原山荘(泊)-かもしかリフト最上部-乗鞍スノーリゾート駐車場=松本駅
歩行時間 ①6時間45分、 ②3時間
コメント この山行は昨年のリベンジ企画だ。昨年の初日は天気が良かったが、二日目はガスで視界が全くきかず、強風のため登頂を断念し撤退している。今年も同じような予報が出ていた。そこで、初日に登頂を目指そうという意見が出て、リーダーの判断で初日にアタックすることになった。
移動中に富士山、南アルプス、八ケ岳、そして北アルプスの峰々を眺めながら期待が膨らむ。「いつか厳冬期の甲斐駒ヶ岳にも挑戦したいね。成長できたらね(笑)。」なんて会話をしていたら、いよいよ今回再挑戦する乗鞍岳がどんどん大きく見えてくるようになった。胸が高鳴る。身支度を整えて、リフトを2本乗り継ぎリフト最上部に到着し、スノーシューを履いて10時20分いよいよスタートだ。スタートから山頂までは標高差1050メートル。ふと考えた、雪山で一日で1000メートル登ったことあったっけ?いや初めてだ。リーダーが「肩の小屋に13時に着くのを目指していこう」とのこと。いやいやなかなかのペースでは?と感じたが、「了解です!」と答えておいた。
天気は最高、申し分ない。そして信じられないほど暑い。本当に天気がよく雲一つなく、美しい乗鞍岳が大きくなってくる。雪山はやっぱり素晴らしい。
疲労と闘いながら、絶景に癒されながら、お互いの状態を確認しながら、頑張って登る内に、去年撤退した2棟のトイレにたどり着いた。「去年はここで全員撤退だった。こんなに天候に恵まれているんだ、今年は全員登頂できますように。」神社でもないのに、トイレに向かって祈っていた。しかし、祈りとは裏腹に何とかかんとか肩の小屋まで着いたが、とうとう足を攣った。「まじか!これでは、行ってきました、でなく、攣ってきました、じゃないか。」笑うに笑えない冗談だ。
肩の小屋から山頂まで、稜線の吹き曝しの中まだ250メートル登らないといけない。今日一番厳しい環境に関わらず、天候は良くてもやはり3000メートル峰の雪山稜線だな、と体はきついのに、何故か喜んでいる自分がいた。芍薬甘草湯を飲んでもそれほど効果的な改善はなく騙しだましで、結構気合で登っていた。リーダーや先輩を追いかけて、ようやく山頂についた時には、色々考えていたくせに不思議と無の境地のように静かな、穏やかな心になっていた。少しガスは出てきていたが、360度の大絶景、言葉にならない美しさだった。もっと美しい景色は他にもあるのかもしれないけど、過去一番つらい山行だったからか、これまでで最も美しく見えた気がした。寒い山頂で待ってくださり、遅れた自分の登頂を喜んでくださったリーダーや先輩方、申し訳ありませんでした。そして本当にありがとうございました。
時々足を攣りながらなんとか山荘まで辿りついた時には少し日が落ち始めて17時を回っていた。片づけをしていると、夕食の時間になった。たった一人のご主人だけで切り盛りしていると思えない手作り料理と鹿鍋に舌鼓を打つ。みんなで今日の山行や色々な話題で盛り上がり、美味しくご飯をいただいた。その後はコタツスペースで反省会。普通のコタツに一辺2人ずつ入るものだから狭いに決まっている。無理な体勢で当然、また足を攣る人が出てきては、笑いあった。楽しい時間はあっという間に過ぎ、消灯時間になりフトンに入った。
二日目は朝食をいただき、ゆっくり支度して、小屋近くの斜面でヒップそりで遊び、滑落停止訓練に取り組んでから、9時前に下山を開始。最初だけ少し登り返したが、あとはずっとスキー場まで下るのみ。終始、雨に近いみぞれが降り、全身びしょ濡れだ。ずっと視界がなく、やはり昨日に登頂しておいて良かったね、と言葉を交わす。そして12時前に全員無事に下山できた。昨年のリベンジが叶った人がいて、来年以降にリベンジを誓う人もいる。山行前には想像できなかったとても濃密な山行だった。
個人的には雪山にドはまりしている。ほぼ毎週のように雪山に入らせてもらっている。山を始める数年前まで想像もできなかったことだ。リーダーや先輩には一つ一つ学ばせていただき本当に感謝しかありません。そして優しく、思いやり深く接して、言葉かけをくださるメンバーの皆様にも感謝でいっぱいです。素晴らしい山岳会だとあらためて感じた。
「行ってきました」そして「(半分の人が)攣ってきました」でした(笑)。
投 稿 者 長岡 賢
写真撮影者 メンバー